画像引用元:映画.com『Cloud クラウド』フォトギャラリー (C)2024 「Cloud」 製作委員会
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こんにちは、はな(@hanahackpq)です。
2024年は、黒沢清監督の新作が『Chime』と『Cloud クラウド』の2本も公開された、黒沢清ファンにはたまらない年でしたね。
そして2024年12月27日から早くも『Cloud クラウド』の見放題配信がプライムビデオでスタートしました。
私は『Cloud クラウド』を劇場で観れていなかったので、配信開始後、すぐに鑑賞しました!
この記事では、映画『Cloud クラウド』の感想をネタバレありでご紹介します!
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映画『Cloud クラウド』作品情報
世間から忌み嫌われる“転売ヤー”として真面目に働く主人公・吉井。彼が知らず知らずのうちにバラまいた憎悪の粒はネット社会の闇を吸って成長し、どす黒い“集団狂気”へとエスカレートしてゆく。誹謗中傷、フェイクニュース――悪意のスパイラルによって拡がった憎悪は、実体をもった不特定多数の集団へと姿を変え、暴走をはじめる。やがて彼らがはじめた“狩りゲーム”の標的となった吉井の「日常」は、急速に破壊されていく……。
引用:映画『Cloud クラウド』公式ホームページ
公開日 | 2024年09月27日 |
上映時間 | 123分 |
監督 | 黒沢清 |
主演 | 菅田将暉 |
映画『Cloud クラウド』は、黒沢清監督初のアクション映画です。
黒沢清監督は、アクション映画を作ろうと考えた時に、音楽で雰囲気を作ることはしたくないと考えたそうです。
その場で発生しうる銃声や機械音、人の立てる物音が響く中での、素人同士の泥臭い死闘。
現実と地続きのように見える、だけど何か不思議な世界観。
そこで繰り広げられる、見たことのないガンアクションに、ヒリヒリとさせられました。
それでは、映画『Cloud クラウド』の感想をネタバレありでご紹介します!
感想|“真面目な悪者”が引き寄せる悪意と、地獄
“真面目な悪者”としての転売屋
映画『Cloud クラウド』の主人公・吉井は、善人でも、悪人でもない“普通の人”です。
もちろん「転売屋」は世間では忌み嫌われている存在であり、ちょっとは“悪”なのですが、本人たちはいたって真面目に、一生懸命に転売をしているのです。
黒沢清監督は、そんな転売屋の吉井を“真面目な悪者”と表現しています。
転売屋というのは、他人から恨みを買う存在です。
その上、主人公・吉井は、完全な悪ではないけれども、失礼な態度で商品を買い付けたり、先輩を心の底では馬鹿にしていたり、上司の訪問を無視したり、他人に優しくない部分がある人間です。
それらのことから、吉井はいつの間にか先輩や上司、ネットでラーテル(吉井)から商品を買った人たちからの恨みを買い、恐怖の渦に飲まれていったのです。
恐怖の最大値を生み出す仕掛け
黒沢清映画の特徴として、見せないことによって生まれる恐怖があります。
例えば、バスで吉井が彼女の秋子に新居の地図を見せている時、後ろから画面をのぞき込む人物がいました。
人物の顔は映し出されず、私たちはその人物がどんな顔をしていたのか、どんな表情をしていたのか、全く分かりません。
例えばこのシーンで、男性のニヤニヤした顔を映し出せば、それはそれで恐怖が生まれるかもしれませんが、そこが恐怖の最大値になってしまいます。
そのため、黒沢清監督は恐怖を具体的に見せないことで、観客の想像を掻き立て、それぞれの観客にとっての恐怖の最大値を生み出しているのです。
今作は現代の寓話である
吉井のアシスタント・佐野は悪魔的な存在なのだと、黒沢清監督は語ります。
つまり、佐野は主人公に協力して手助けをし、幸福と不幸を同時にもたらす存在なのです。
吉井は佐野によって命を救われましたが、そもそもの、佐野の存在や目的は謎に包まれています。
実際のところ、吉井のマンションに置いてあったネズミの死骸、道に張ってあったワイヤー、窓に投げ込まれたエンジンとその犯人、鬱々としたネット民を焚きつけた掲示板、すべてが佐野の策略で、吉井は佐野の掌の上で転がされているだけなのかもしれません。
つまりこの物語は、悪魔が“真面目な悪者”を媒介として世間に広がる鬱々とした感情や悪意を引き寄せて、地獄へと誘う現代の寓話なのだと言えます。
まとめ
この記事では、映画『Cloud クラウド』の感想をネタバレありでご紹介しました。
今作は黒沢清ワールドとエンタメのバランスがちょうどよく、私はすごく好きな作品でした!
ただ、菅田将暉や窪田正孝など俳優さん目的で鑑賞したら「なんだこれ、意味が分からない…」と思っちゃうかもしれませんね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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前作『Chime』も好きでしたが、『Chime』は明確なストーリーがないアーティスティックな作品だったので、そういう意味では今作『Cloud クラウド』の方が私は楽しめました!