【ネタバレ解説】映画『aftersun/アフターサン』ラストシーンの意味は?父はどうなった?

画像引用元:映画『aftersun/アフターサン』公式Twitterより

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こんにちは、はな(@hanahackpq)です。

この記事では、映画『aftersun/アフターサン』をネタバレありで解説します!

今作はとても分かりにくい作品のため、賛否も真っ二つに分かれているようです。

「観たけど意味が分からなかった…」「心に刺さったけど、何が刺さったのか言葉に出来ない」など、いろんな感想があると思いますが、この記事を読んで今作をより好きになっていただけると嬉しいです!

それでは、映画『aftersun/アフターサン』あらすじ、キャストからご紹介していきます!

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今作の配給はA24です!やはり、実力のある若手監督の発掘はA24が強いですね。

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『aftersun/アフターサン』あらすじ・キャスト

11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。

映画.com『aftersun/アフターサン』より
監督・脚本シャーロット・ウェルズ
主演ポール・メスカル、フランキー・コリオ
劇場公開日2023年5月26日
上映時間101分

主演のポール・メスカルは、TVドラマ『ノーマル・ピープル』で一躍ブレイクを果たした俳優さんです。

彼は本当に絶妙なバランスで父親としての落ち着きと、若者としての不安定さを兼ね備えており、今作の父カラム役にぴったりでした。

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ポール・メスカルは、31歳の父親役をやっていますが、実年齢は27歳だそうです!

また、ソフィ役のフランキー・コリオは、なんと今作がデビュー作ということで…大物誕生の予感しか感じません…。

彼女は、すごく大人びた雰囲気と、子供の無邪気さを兼ね備えており、場面によって全く違う表情を見せるのが印象的でした。

脚本や映像が素晴らしいことはもちろんですが、ポール・メスカルとフランキー・コリオ、この2人だからこそ、ここまでの作品が出来たのだと感じています。

【解説①】『aftersun/アフターサン』タイトルの意味は?

映画『aftersun/アフターサン』公式Twitterより / 劇中では何度も二人が日焼け止めを塗るシーンが映し出されます。

Aftersun(アフターサン)とは「日焼けした後に塗る保湿ローション」を意味します。

後ほど説明しますが、おそらく父カラムはこの旅行の後に自殺をしていると考えられます。

つまり、ソフィがビデオを見ながら記憶をたどり、当時の父の心を理解しようとすることこそ、アフターサンローションを塗る行動だと言えます。

【解説②】なぜ今作は難解なのか?

映画『aftersun/アフターサン』公式Twitterより

なぜ今作が難解なのかを理解するために、監督のインタビューを読んでみました。

──(省略)ソフィが夜中にホテルに帰った時、ドアに鍵がかかって締め出されてしまうシーンの少し前に、カラムが海に入っていくシーンがありますよね。自殺と誤解する人もいるかもしれません。あのシーンは幻想なのでしょうか?それともリアルなのでしょうか?
(笑みを浮かべて)そこまではっきりと聞かれたことがなかったので、笑顔になってしまいましたが…私は想像だと考えています。翌日、あるいはもっと後で知ったことに基づいたソフィの想像でしょうか。カラムが一人のシーンは基本的に、大人になったソフィが、彼女の見えないところでカラムがどのように苦しんでいたのかを想像したものだと思っています。非常に内的な経験を具体化したものですね。

fans voice「【単独インタビュー】『aftersun/アフターサン』シャーロット・ウェルズ監督が映した娘から見た父親の肖像」より

つまり今作は、記録、記憶、想像が混ざった映像表現であるから難解なのだと考えられます。

ベランダで一人煙草を吸う父、夜中の海に入っていく父、ソフィへの手紙を書きむせび泣く父、そんな父の姿はすべて大人になったソフィの想像なのです。

ソフィは「今の自分なら父の当時の苦しみを理解できるんじゃないか」「父はこの時こう思っていたのではないか」と考えながら、父との最後の夏を思い出しているんですね。

ビデオに残った「記録」、ソフィの心に残った「記憶」、そして大人になったソフィが当時の父を思う「想像」、それらがすべて地続きで描かれる今作は思い出の映像表現として美しすぎます。

【解説③】父カラムはどうなったのか?

映画『aftersun/アフターサン』公式Twitterより

はっきりとは描かれていませんが、父カラムは旅行後に自ら命を絶ったのだと考えられます。

誕生日を親に忘れられるような幼少期を過ごし、20歳で子どもができ、何かしらの理由で妻とは別れてしまい、娘にもほとんど会えない。娘を習い事に通わせるようなお金もない。

カラムの境遇について、それ以上の詳細は分からないものの、彼が時折見せる苦しげな表情からは、彼のギリギリな精神状態が読み取れます。

また、「Under Pressure」が流れる中、フラッシュバックのように大人になったソフィが当時のカラムを抱きしめるシーンがありますが、これは父を救えなかったというソフィの後悔が表現されていると考えられます。

【解説④】ラストシーンの意味は?

映画『aftersun/アフターサン』公式Twitterより

今作のラストは、カラムとソフィが別れる空港のシーンから、31歳のソフィを映し出し、そのまま流れるように、31歳のカラムを映し出します。

そして、カラムはカメラを片付けて、扉の向こうへと歩いていきます。

扉の向こうには「Under Pressure」が流れていた、あの夏のダンスホールが広がっています。

ここで、このシーンは、父を懐かしむ気持ちや、当時父を救えなかった後悔、そんな感情が生み出したソフィの想像の世界なのだと理解できます。

『aftersun/アフターサン』小ネタ3選

①監督自身の経験が投影されている

私は、ティーンエイジャーの頃に父を亡くしています。ソフィよりもう少し上の年齢の時でしたね。『Tuesday』も本作も、その体験からインスピレーションを得ています。ただ本作は、自伝ではなく、自分の父との関係のエッセンスを取り込んだ作品だと考えています。

fans voice「【単独インタビュー】『aftersun/アフターサン』シャーロット・ウェルズ監督が映した娘から見た父親の肖像」より

シャーロット・ウェルズ監督はインタビューで、今作には自分自身の経験が投影されていると語っています。

また、監督の過去作『Tuesday』も今作と共通点のある作品です。

はな

『Tuesday』はYoutubeにあるので、ぜひ観てみてくださいね!

②ソフィ役フランキー・コリンは完成した映画を観て泣いた

フランキー・コリンは、完成した映画を観て泣き「なんでこんな悲しい作品を作ったの」と監督に詰め寄ったそうです。

彼女は、とても無邪気に、自然にソフィを演じていました。

つまり、彼女がソフィを演じていた時、父の苦悩を知らない11歳のソフィと同じ感情だったのではないでしょうか。

だからこそ、フランキーは完成した作品を観て父と娘の見えている世界の違いに気付き、泣いてしまったのだと思います。

③父カラムのセクシャリティ

映画『aftersun/アフターサン』の考察の中には、父カラムが自身のセクシャリティで悩んでいたとする記事も多くあります。

しかし、いろいろなインタビューを読んでみると、監督としてはそのような意図はないようです。

カラムの抱える悩みは、きっとたくさんの小さなことが重なって生み出されていて、彼自身でも理解できないほど複雑です。

だからこそ、父として娘に愛を注ぐ姿も、一人の未熟な人間として思い悩む姿も、どちらも彼の真実であると理解できます。

【感想】『aftersun/アフターサン』まさに「思い出」のような作品

映画『aftersun/アフターサン』は、一つの映画という枠を超えて、作品の根底にある感情で観客の感情を動かすような力強い作品でした。

鑑賞後1週間が経ちますが、今作を思い出すと、愛おしく、切なく、苦しくなります。

今作そのものが、「思い出」という概念そのもののようだと感じます。

本当に大好きな作品です。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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