画像引用元:映画『パスト ライブス/再会』公式X
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こんにちは、はな(@hanahackpq)です。
先日、2024年4月5日公開の映画『パスト ライブス/再会』を観てきました!
12歳の時の初恋の2人が、24歳の時に再会して別れ、36歳でもう一度再会するというあらすじを読んで「現代の『ビフォア・サンライズ』になりうる…?!」と期待していた作品です。
ですが…
私は今作は恋愛映画ではないと感じました。
この記事では、私が今作を恋愛映画ではないと考える理由や、ノラが泣いた理由をネタバレありで解説していきます!
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映画『パスト ライブス/再会』作品情報
韓国・ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソンは、互いに恋心を抱いていたが、ノラの海外移住により離れ離れになってしまう。12年後、24歳になり、ニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいた2人は、オンラインで再会を果たすが、互いを思い合っていながらも再びすれ違ってしまう。そして12年後の36歳、ノラは作家のアーサーと結婚していた。ヘソンはそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れ、2人はやっとめぐり合うのだが……。
映画.com『パスト ライブス/再会』より
公開日 | 2024年4月5日 |
上映時間 | 106分 |
監督・脚本 | セリーヌ・ソン |
主演 | グレタ・リー、ユ・テオ、ジョン・マガロ |
映画『パスト ライブス/再会』は、セリーヌ・ソン監督の初の長編監督作品です。
セリーヌ・ソン監督自身も、12歳で韓国からカナダに移住し、20代でニューヨークへ拠点を移しています。
そしてある時、子どもの頃好きだった男性とアメリカ人の夫に挟まれ、バーで話すという経験をしたそうです…!!
つまり、今作の物語はセリーヌ・ソン監督自らの経験がベースになっているのですね。
「ニューヨークのバーで、子どもの頃に好きだった人と、一緒に暮らしているアメリカ人の夫に挟まれて座ったことがありました。2人は英語と韓国語を話すので、私が通訳して互いの文化を説明したんです。その時、自分自身の時間がメチャクチャになっているような気がしました。自らの過去や現在、未来と一緒に酒を飲んでいるような感じ──2人の自分、2つのアイデンティティの架け橋になっていると感じたのです」
ニッポンドットコム「映画『パスト ライブス/再会』:時間と空間を超える愛、セリーヌ・ソン監督が語る」より
私は、今作をとても女性監督的で、現実的な物語だと感じましたし、監督自身の経験がベースになっていると知ってとても納得しました。
それでは、今作の解説をしていきます!
映画『パスト ライブス/再会』が恋愛映画ではない2つの理由
私は、映画『パスト ライブス/再会』は、恋愛映画ではないと思いました。
では、なぜ私が今作を恋愛映画ではないと考えるのか、2つの理由から解説していきます。
1.ヘソンは「ノラと過ごした過去」を愛している
今作が恋愛映画でない理由の1つ目は、ヘソンが愛しているのはノラ自身ではなく、ノラと過ごした過去だということです。
物語を思い返してみると、ヘソンがノラを想う時は、今の自分に満足ができず「あの時こうだったら…」と過去を懐かしむ時ではなかったでしょうか。
24歳の時、ヘソンがノラを探しはじめたのは、辛かった兵役中にノラのことを思い出し、頭から離れなくなったからです。
36歳の時、ヘソンがノラのもとを訪れたのは、平凡な自分の人生に満足できず、付き合っていた恋人との将来に不安を覚えたからです。
逆に考えると、ヘソンはノラと別れた12歳から24歳までは、ノラを探すことはおそらくしていませんでしたし、facebookを通じて連絡を取るようになってからも、ヘソンはNYには来ようとしませんでした。
それどころか、ノラが「いつNYに来るの?」と聞いても、ヘソンは「なぜ僕がNYに行くの?」と返します。
探さなかった、という部分に関しては、もちろん、ヘソンとノラが24歳になるまでの時代では、インターネットが普及していなかったことも要因としてはあるでしょう。ただ、ずっと本気で彼女に会いたかったのであれば、小学生の時の友人を通じてノラを探すこともできたと思います。
また、ノラが結婚する前に、夫と韓国に旅行に行くとヘソンにメールをした際にも、ヘソンはメールを返さなかったというエピソードがありましたよね。
たとえ恋愛感情でなくても、ヘソンにとってノラが本当に大切な人であれば、会う機会を作ったはずです。
だけど、ヘソンはそうしませんでした。
このことからも、ヘソンはノラ自身ではなく、自分の人生が行き詰った時に思い出す「ノラと過ごした過去」を愛しているのだといえるでしょう。
2.36歳のノラはヘソンに一切の恋愛感情を持っていない
今作が恋愛映画でない理由の2つ目は、36歳のノラはヘソンに一切の恋愛感情を持っていないということです。
もちろん、ノラもヘソンと過ごした過去を愛おしく感じ、ヘソンを大切な存在だと思ってはいるでしょう。
しかし同時に、ノラは過去を過去として受け入れ、今を生きています。
彼女の転機は、きっと24歳の時です。
24歳で、12年前の初恋の相手と再会したノラは、懐かしさとも、恋愛感情ともつかない、激しい感情を感じていました。
だけど、ノラはヘソンとの連絡を絶つことを決意します。
この時、ノラは過去を過去として受け入れ、自分の人生を歩んでいくことを自らの意志で決意したのだと思います。
そして、36歳のノラにはアメリカ人の夫がいて、彼女は韓国を懐かしく思いながらも、アメリカで暮らしています。
ヘソンを見つめるノラの瞳には、過去を懐かしむ気持ちはあれども、恋心はありませんでした。
ノラが泣いた理由は?
では、なぜノラはヘソンと別れた後に泣いたのでしょうか。
私は、それには2つの理由があると考えます。
1つ目は、ノラは、自分とヘソンの「縁(イニョン)」は既に切れていることを知っており、それをヘソンに(別れ際に何もせず、何も伝えないという)行動で示したことに切なさを感じたからでしょう。
2つ目は、今の自分の居場所はニューヨークなのだと、アーサーのもとなのだと改めて感じたからです。
きっと、ヘソンがバーで言った「君は君だから去った」というセリフが、今作の全てなんです。
人生に『もしも』なんてなくて、過去を懐かしんでも、過去を愛しても、今自分がいる場所こそが自分の居場所であり、今自分が愛する相手こそが一緒にいるべき運命の相手です。
ノラは過去(ヘソン)と向き合うことで、そのことをはっきりと感じたのでしょう。
だからこそ、ニューヨークに来てから泣かなくなっていたノラが、ようやく安心して泣くことができたのです。
まとめ | 感性を刺激する良作でした!
この記事では、映画『パスト ライブス/再会』をネタバレありで解説していきました。
とはいえ、今作は観客それぞれが持つ経験や、人生観によって大きく感じ方が変わる作品だと思います。
レビューサイトを見ていると、(男女で言い切るのはよくないですが、あえて言わせてください!)男性の方が今作をラブストーリーだと感じているように思いました。
こんなふうに、観客それぞれの感性を刺激するような作品は、それだけで良作であると思います。
皆さんの感想もぜひ教えてくださいね!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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