映画『猿楽町で会いましょう』感想 | 人によっては薄っぺらい映画、人によっては凶器になり得る映画

画像引用元：映画『猿楽町で会いましょう』公式Twitterより

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こんにちは、はな（@hanahackpq）です。

この記事では、映画『猿楽町で会いましょう』の感想をご紹介します！

人によっては、薄っぺら映画、人によっては、凶器になり得る映画、です。私は無事、心に傷を負いました…

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『猿楽町で会いましょう』あらすじ・キャスト

駆け出しのフォトグラファー小山田は、撮影で読者モデルのユカと出会う。コケティッシュでピュアなユカに惹かれ、彼女を被写体に次々と作品を撮り始める小山田。そして二人は付き合い始め、猿楽町で撮った作品はコンテストで受賞し周囲に認められ始める。しかし、元カレの存在を知った小山田は次第にユカの言動を疑いはじめ…。ハッピーなボーイ・ミーツ・ガールが一転、シニカルなクライマックスに向けて疾走する。

filmarks『猿楽町で会いましょう』あらすじより引用

今作は第2回「未完成映画予告編大賞MI-CAN」でグランプリを受賞し、本編が制作された作品です。

主演は、金子大地さん、石川瑠華さんで、お二人とも全力の演技が素晴らしかったです。

特に、石川瑠華さん演じるユカの実在感がすごい。

また、監督は金子大地さんとだけ打ち合わせを行い、いきなり怒鳴る演技を入れることで、石川瑠華さんのリアルな反応を引き出したそうです。

今作が心に刺さるのはどんな人？

filmarksのレビューを見ると、好意的な意見と、「薄っぺらい」「しょうもない」といった意見とで、完全にレビューが二分化されているような印象でした。

私は、今作を見てから数週間経った今でも、心がざわついています。なんでこんなに心がざわつくのか、なんで今作はこんなにも私の心に残るのか、すごく考えました。

そこで分かったことは、今作は自分自身も『ユカ』である、と感じる人にとって凶器になり得る作品なのだということです。

ユカは、本当にしょうもない人間で、自分の芯になるものは持っておらず、見せかけだけです。夢も、実はなんとなくで、だからこそ学校のお金のこともしっかり調べていない。

それでも何となく近づいてくる異性はいるから、そこに依存してしまう。『自分』がほとんどない空っぽの人間だからこそ、全部が人の受け売り。どっかで聞いた言葉を、さも自分の言葉のように話す。その場しのぎの生き方。

そんな、ユカは、他人に害を与えるという意味で、今作の中ではある意味『加害者』のようにも見えたかもしれません。

でも、ある意味ユカも、自分自身の『被害者』なんじゃないかな、と私は思いました。

いつのまにか大人になって、なんとなく、恋人が出来て、なんとなく、夢をもたないといけないように感じて、そこでようやく自分の空っぽさに気付く、だからこそ他人の言葉と、自分を守るための嘘で取り繕う。

ユカは自分に都合の良いように人を惑わし、確かに最低なんですが、自分のその最低さに一番苦しめられているのは自分なのだと感じます。

だからこそ、自分自身に『ユカ』と同じ空虚さを感じる人間は、今作を見て、自分を見ているような気持ちになり苦しくなるんですね。

ユカにとっての小山田、小山田にとってのユカ

おそらく、ユカにとっての小山田は、正直、人生の行き当たりばったりの内の1人でしかなくて、でも、小山田にとってのユカは、時間がたてば、愛おしい思い出の人になる。

これは、男女の違いうんぬん、以上に「人を大切にする人かどうか」という部分だと思います。

人を大切に出来る人間は、人との出会いで成長出来る、でも、人を大切に出来ない人間は、人との出会いで成長できないんですよね。

それでも、私は、ユカに幸せになってほしいと心から願いました。この物語の続きがあれば、ユカが幸せになれますように。

お読みいただきありがとうございました！

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