画像引用元:映画.com『スルース』フォトギャラリーより
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こんにちは、はな(@hanahackpq)です。
この記事では、2008年公開(2007年制作)の映画『スルース』をネタバレありで解説していきます!
今作は、映画好きの友人から教えてもらって鑑賞しました♪
観た直後は「よく分からないけど、カメラワークやセリフの言い回しかっこい~!!」くらいの感想だったのが、詳細を調べると「めちゃくちゃ奥深い…」と思える作品でした。
元々は舞台劇で、1972年に映画化、2007年にリメイクの映画化、そして日本でも名優によって舞台化されている「スルース」という作品の、奥深い魅力を感じました。
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『スルース』作品情報
72年にローレンス・オリビエ&マイケル・ケイン主演で製作され、2人揃ってアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた傑作サスペンス「探偵スルース」を、マイケル・ケイン&ジュード・ロウ主演でリメイク。一人の女性を巡って、夫であるベストセラー作家(ケイン)と不倫相手の若手俳優(ロウ)が、ロンドン郊外にある作家の豪邸を舞台に心理戦を繰り広げる。監督は「魔笛」「ハムレット」のケネス・ブラナー。
映画.com『スルース』より
監督 | ケネス・ブラナー |
脚本 | ハロルド・ピンター |
出演者 | マイケル・ケイン、ジュード・ロウ |
公開日 | 2008年3月8日 |
上映時間 | 89分 |
映画『スルース』は、1972年に公開された『探偵スルース』のリメイク版です。
『探偵スルース』は、『ウィッカーマン』や『ナイル殺人事件』で有名な脚本家アンソニー・シェーファーが脚本を手掛けた作品で、もともとは舞台劇だったそうです。
それでは映画『スルース』のあらすじをネタバレありで解説していきます!
『スルース』あらすじ解説(ネタバレあり)
有名な推理小説家であるアンドリュー・ワイクの屋敷に、売れない俳優でワイクの妻マギーの浮気相手であるマイロ・ティンドルが訪れるところから物語は始まります。
ティンドルは、マギーと離婚するようにワイクを説得しますが、ワイクはそれには応じません。
ですが、ワイクはティンドルに自分の持っている宝石を盗んでほしいと持ち掛けます。
そうすれば、ワイクには保険金が入り、ティンドルは宝石を転売すれば金が出来るので、それでマギーと暮らせてWin-Winだと言うのです。
第一ラウンド:宝石泥棒のゲーム
ティンドルはワイクの指示通りに天井から侵入し、宝石を盗み出します。
しかし、ワイクはティンドルを銃で撃ちます。
これは、ティンドルを宝石泥棒に仕立て上げるワイクの作戦だったのです。
ここでは「ティンドルは撃たれて死んだ」と見せる演出になっていますが、実は銃に弾は入っておらず、ティンドルは死んでいませんでした。ティンドルと一緒に、観客もワイクに騙されているんですね。
第二ラウンド:刑事と容疑者のゲーム
ワイクがティンドルを撃った3日後、ワイクの屋敷に刑事が訪れます。
刑事はティンドルが行方不明であることを告げ、ワイクの屋敷の捜査を始めます。
ワイクが犯人である証拠を見つけた刑事がワイクを問いただすと、ワイクは「ティンドルを空の銃で撃ったが、ティンドルは気絶しただけだ。死んではいない」と告白します。
そして刑事が笑い出し、変装を取ると、実は刑事はティンドルの変装だったと分かります。
第2ラウンドでは、ティンドルの名演技に、ワイクも観客も騙されることとなりました。
第三ラウンド:まさかの和解…!?!
ゲームを通じてワイクはティンドルを気に入り、自由に自分の金を使って良いから、屋敷で一緒に住まないかと提案します。
ティンドルは気分を良くして、ワイクに対し傲慢な態度を取りはじめ、ついには彼を罵倒しはじめます。
そしてティンドルは「マギーから連絡があり、彼女は屋敷へ戻るつもりだそうだ」とワイクに伝えて、屋敷を去ろうとします。
ワイクは彼を銃で撃ち、涙を流し、物語は終わります。
第3ラウンドの展開は、まさかすぎる超展開でした。第1ラウンドでワイクに騙され、第2ラウンドでティンドルに騙された観客が、第3ラウンドでは、ワイクとティンドルの両者、もっと言えば映画の展開そのものに驚かされる構成となっていましたね。
『スルース』解説:「魅せる」ことに意味がある作品
今作を観た直後は「この映画は何を表しているのか?」「ストーリーには、どういう意味がこめられていたのか?」と考えていたのですが、とにかく分かりませんでした。
しかし、今作について調べていくうちに「この作品において、ストーリー自体はあまり重要ではないのでは?」と思い始めました。
この作品で重要なことは、観客を「魅せる」こと、その1点と言っても良いでしょう。
では今作は、具体的にどのような点で観客を魅せる作品なのかを解説していきます。
魅力1. 登場人物
まず「登場人物が2人だけ」という点は今作の大きな特徴ですが、その2人の登場人物がとても魅力的です!
役もそうですが、そもそもの俳優自身の魅力が物を言っています。
また、1972年版、2007年版ともにワイクは世界的に有名な小説家という設定ですが、ティンドルの設定は、美容師(1972年版)から売れない俳優(2007年版)に変わっています。
その設定変更により、ワイクとティンドルの貧富の差は拡大し、また、ティンドルのキャラクターイメージが変わりました。
これは『スルース』を、より映画として分かりやすいものにするための変更だったと考えられます。
魅力2. 屋敷の内装や小道具
次に、屋敷の内装や小道具も今作の魅力です。
1972年版スルースのワイクの屋敷は、人形やゲームなどの物で溢れており、遊び心があります。
一方、2007年版スルースのワイクの屋敷は無機質で、より映画的です。
上に貼り付けた動画では1972年版のワイクの屋敷は「ゲームボード」に例えられ、2007年版は「ゲームのステージ」に例えられています。
まさにその通りで、2007年版映画『スルース』のワイクの屋敷は明らかに「観客を楽しませる装置としての役割」のみを担っています。
魅力3. メタ的な面白さ
今作で私が何より魅力的だと感じたのは、作品全体を通じてメタ的な面白さを追求している点です。
今作の『スルース』では、監視カメラの映像が効果的に映し出されますが、それは我々観客のような第三者の視点を表していると考えられます。
また、カメラワークやセリフの言い回し、ライトの色や明るさのすべてに至るまで、いかにこの映画を魅力的に見せるかという1点を目的として作られているように感じました。
加えて、ワイクが何度もティンドルの職業について「美容師と聞いているが…」と話す場面がありますが、これは明らかに1972年版スルースでのティンドルの職業を引用しています。
2007年版スルースでは、1972年版スルースでティンドルを演じたマイケル・ケインがワイクを演じているので、過去に自分自身が演じたティンドルの職業を何度も引用してくることは、メタ的な面白さを分かりやすく演出していると言えますね。
『スルース』まとめ:舞台×映画いいとこ取りの良作
2007年版映画『スルース』は、元々舞台劇であった作品に映画的な魅力を濃く加え、かつモダンに作り変えた良作でした。
物語のストーリーのみを楽しもうとすると「おしゃれだったけど、結局何だったんだろう?」と思ってしまうような作品ですが、実は奥深い構成になっており、日本でも舞台化されているというのにも納得です。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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