画像引用元:映画.com『憐れみの3章』ギャラリーより (C)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.
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こんにちは、はな(@hanahackpq)です。
映画『哀れなるものたち』の日本公開から8カ月。
早くもヨルゴス・ランティモス監督の最新作『憐れみの3章』が、2024年9月27日に公開されました!
またしてもエマ・ストーンとヨルゴス・ランティモス監督のタッグということで、私はとても楽しみにしていました。
が、公開の翌日、土曜の昼の回、映画館はなぜかガラガラでした…(笑)
この記事では、映画『憐れみの3章』についてネタバレありで解説をしていきます!
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映画『憐れみの3章』作品情報
選択肢を取り上げられた中、自分の人生を取り戻そうと格闘する男、海難事故から帰還するも別人のようになった妻を恐れる警官、奇跡的な能力を持つ特別な人物を懸命に探す女……という3つの奇想天外な物語からなる、映画の可能性を更に押し広げる、ダークかつスタイリッシュでユーモラスな未だかつてない映像体験。
映画『憐れみの3章』公式HPより
公開日 | 2024年09月27日 |
上映時間 | 164分 |
監督 | ヨルゴス・ランティモス |
脚本 | エフティミス・フィリップ、ヨルゴス・ランティモス |
主演 | エマ・ストーン、ジェシー・プレモンス、ウィレム・デフォーほか |
映画『憐れみの3章』は3つの独立した物語で構成されており、それぞれの物語で、同じ役者が別のキャラクターを演じるという不思議な映画でした。
唯一「R.M.F.」というキャラクターだけが、同じ役者が、同じキャラクターを演じていました!
164分という長尺の映画ですが、3つの物語があることで長さは感じませんでした。
監督と共に今作の脚本を執筆したのは、ギリシャの脚本家エフティミス・フィリップ。
ヨルゴス・ランティモス監督の過去作『籠の中の乙女』『ロブスター』『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』の3作も、エフティミス・フィリップとのタッグで生み出された作品です。
この3作が大好きな私には、今作ばっちりハマりました。
解説|絶対的なルールの下での支配と被支配
映画『憐れみの3章』は、ヨルゴス・ランティモス監督の世界観が好きなファンには堪らない作品でしたね。
監督自身が「R.M.F.というキャラクターには意味がない」と話しているように、今作の物語の全てが監督の作り出した概念のようなものであり、今作にこめられた意味や物語の謎は、もはや考察しきれるような代物ではない・・・と思っています。
とはいえ、ヨルゴス・ランティモス監督の作り出す世界観は、確固たる軸があり、表現されている要素を考えていくと楽しいので、勇気を振り絞って考察をしていきましょう。
支配と被支配の関係
今作の3つの物語で共通している世界観は「絶対的なルールの下での、支配と被支配の関係性」です。
①「R.M.F.の死」では、会社のボスであるレイモンド(ウィレム・デフォー)が絶対的な支配者であり、ロバート(ジェシー・プレモンズ)を筆頭とするキャラクター全員が、程度は違えど、レイモンドの支配を受けていました。
②「R.M.Fは飛ぶ」では、警察官のダニエル(ジェシー・プレモンズ)が妻のリズ(エマ・ストーン)を支配していました。
もはやダニエルは、家庭という世界自体を支配していたと言ってもいいかもしれません。
だからこそ、自分の求めているリズではないリズを「偽物だ」として自死させ、新しいリズが生みされたのではないでしょうか。
③「R.M.F.サンドウィッチを食べる」では、オミ(ウィレム・デフォー)とアカ(ホン・チャウ)がカルト教団の教祖として、エミリー(エマ・ストーン)を筆頭とするカルト教団の団員たちを支配します。
カルト教団は、死者を蘇らせることができる双子の1人を探しています。
双子の片方は亡くなっているという「ルール」がありますが、死者を蘇らせることができるという獣医ルースの双子の姉妹レベッカは生きていました。
しかし、レベッカは「ルールに基づくと、私は死ぬべきだ」というようなことをエミリーに告げ、自ら死を選びます。
R.M.F.というキャラクターの役割は?
監督自身が「R.M.F.というキャラクターには意味がない」と話しているように、R.M.F.というキャラクター自体には、たしかに意味はないのだと思います。
しかし、R.M.F.は3つの物語の世界をつなぐ、1本の軸のような役割を果たしていたのも確かです。
①「R.M.F.の死」では、ある会社や社会での絶対的な支配関係が描かれ、②「R.M.Fは飛ぶ」では、ある家庭内での絶対的な支配関係が描かれ、③「R.M.F.サンドウィッチを食べる」では、ある教団での絶対的な支配関係が描かれていましたね。
もともと、今作はオムニバスではなく、それぞれの物語が同時並行で描かれる形式が考えられていたそうです。
そのことからも今作は、この世界の中に同時に存在する、様々な支配の形を描いていると考えられます。
タイトルの意味は?
今作の邦題は『憐れみの3章』となっていますが、原題はKinds of Kindness(訳:やさしさの種類)です。
憐れみとやさしさ、たしかにニュアンスは近いですが・・若干違う気もしますね。
漢字は異なりますが、『哀れなるものたち』と似た邦題にすることで集客を狙っているのか・・?!と思ったりもします。
これまで見てきたように、今作の中では様々な形の支配関係が描かれていましたが、今作で描かれる支配は、実は暴力的ではありませんでした。
支配される側は支配によって守られ、自分の居場所や生き方を与えられていました。
つまり、支配者は支配によって被支配者を守り、被支配者は求められた行動を取ることで支配者を満足させる、実はWin-Winの関係性だったんですね。
それは言うなれば、やさしさの上で成り立っている関係性なのだと言えます。
まとめ
この記事では、映画『憐れみの3章』についてネタバレありで解説をしました!
ヨルゴス・ランティモス監督は、全くブレない強い作家性を持つ監督で、過去作と今作の共通点を探しながら観るのも楽しいです。
双子、水、プール、犬というモチーフから、特に『籠の中の乙女』との共通点が多くあるように感じました。
今作が好きだった方は、ぜひヨルゴス・ランティモス監督の過去作もチェックしてみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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たしかに何の映画なのかというのも、予告編からは分かりづらいですもんね…!